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腰痛の巻 その3
今回は「これは危険ですよ!」という腰痛についてご紹介します。
まず私が腰痛を診ていく流れとして
1)まずRed Flagsを確認。(危ないやつかどうか)
2)神経因性疼痛がないかを確認。(シビレなどあるかどうか)
3)1)、2)の該当所見あれば特異的腰痛として具体的に検査。
該当なければ非特異的腰痛で更に検査。
こういった形で特異的腰痛or非特異的腰痛の区別をしていきます。
特異的腰痛とは神経症状などを伴うもの。
ヘルニア、脊柱管狭窄症などが代表されるものです。
非特異的腰痛はケガや病気でない腰痛
(検査しても当てはまらない事が条件)
比率ですと全腰痛中
特異的腰痛 20%
非特異的腰痛 80%
と言われています。
「その2」でふれた患者さんは非特異的腰痛に分類されます。
この多い非特異的腰痛などはまた次回ふれるとして・・・・・
「これは危険!」Red Flagsの話をしていきます。
先ほどの腰痛の診方でまず最初にRed Flagsを確認とありましたが
これはとても重要な事なんです。
「その1」でもふれましたが「命に関わる事」があってはいけません。
具体的にどんな事に注意が必要か、挙げていきますね。
1)脚にも症状があるか?
靴下をもう一枚はいたような感覚があるか(神経症状)
つまずきやすくなってないか(筋力低下)
2)横向きで寝て安静にして痛みが変わらないか?
内臓疾患や尿管結石や危ない腰痛など
3)20歳未満、55歳以上でガンの罹患率が上がる。
20歳未満(肉腫)
ガン(背骨の転移が多い)
4)体重減少
腫瘍
5)発熱
炎症性疾患
これらが注意事項です。
1)は当院でも治療成績は良好です。
2)〜5)は「命に関わる事」も考えられるものです。
皆さんがこれらを参考に不幸を未然に防ぐ事につながってくれれば
幸いであると考えています。
以前、個人的にも苦い経験がありまして・・・・
乳癌を患っていた患者さんが肩の痛みで来院されたのですが、
来院される度に
「体調に変化はないですか?」
「食欲はどうですか?」
確認はしていたつもりだったんです。
そして肩の痛みが落ち着きを見せ始めた頃、
「先生、腰と股の部分が歩くと痛い」
触診と歩行を確認したところ、恥骨の離開がみられ、それによる
代償歩行につながっていたので恥骨を含めた腰の治療を開始したところ
痛みがかなり軽減され歩行もその日に改善され二人で喜んでいたんです
しかし2〜3日経過すると痛み始めこちらもムキになってしまい
治療を継続していたんです。
その間、体調や食欲不信の有無など確認はしていたのですが
「胸の動悸がする」
とのことで病院受診したところ
「恥骨付近にガンが転移」と診断。
痛恨でした。
悔やんでも悔やみきれない。
その患者さんと会う事が楽しくて、期待に応えたくて、
ある大事なことを見逃していたんです。
病院への検査要請です。
のちにご家族から聞いたのですが、
異変はなんとなく以前からあったそうで、私の体調確認も引っかかって
いたそうです。
ただ、「我慢強い」「楽観主義」「気にしない」などの性格が邪魔を
してしまったと聞かされました。
後日ご本人が迷惑と心配をかけてすまなかったと
おはぎを片手に挨拶に来てくれました。
初めて患者さんの前で感情的になってしまい涙を堪える事が
できませんでした。
なまじ恥骨の治療や、ガンの患者さんの痛み軽減や、余命宣告からの
延命などに感謝され有頂天になってしまい
取り返しのつかない落とし穴に落ちました。
「これからどうしようか」と悩んでいた私に
「先生に会う事が楽しみで通っていたんだから後悔はないよ」
また涙がとまりませんでした。
この日に頂いたおはぎは私の携帯の待ち受け画面です。
戒めとして毎日思い出しています。
次回は非特異的腰痛についてふれます。
またブログで。
- 2020.09.09